「ジェロサイエンス」、機能性食品開発の新潮流に

 順天堂大学の清水孝彦特任教授は、10月16日の「食品開発展2026」セミナーで講演し、老化研究(ジェロサイエンス)と機能性食品開発の最新動向について解説した。老化そのものを制御することで健康寿命の延伸を目指す研究が進展する中、食品成分や腸内細菌、抗炎症素材などが有望な介入手段として注目されているとした。

 食品素材では、ポリアミンの一種であるスペルミジンに着目。オートファジー活性化作用に加え、近年は鉄代謝を調節し、フェロトーシス(鉄依存性細胞死)を制御する可能性も報告されているという。腸内細菌によるポリアミン産生の活性化が寿命延長につながる可能性も紹介した。また、焼酎粕を乳酸菌で再発酵した素材が老化細胞を選択的に減少させる可能性を報告。活性成分候補としてピロガロールを同定しており、セノリティクス(老化細胞除去)素材としての可能性を検証しているという。

 さらに、高齢者の低栄養対策としてゲラニオールを用いた研究を紹介。高齢マウスでアルブミンやコレステロール、赤血球関連指標の改善が認められたほか、アサイーではエリスロポエチン産生促進や赤血球増加作用を確認したと報告し、「高齢者の栄養状態改善や貧血対策への応用が期待できる」とした。

 同氏は、「ジェロサイエンスの目的は単なる寿命延長ではなく、寝たきりや要介護状態を防ぎ、健康寿命を延ばすことにある」と強調。腸内細菌、慢性炎症、老化細胞、低栄養、貧血などの課題に対し、機能性食品が果たす役割は今後さらに大きくなるとの見方を示した。